12月1日、2016年度のミシュランガイド東京が発表になった。
対象地域は昨年から東京のみに絞った発表になっており、今年もそれを踏襲するもの。
それまで同じ本に掲載されていた横浜・川崎・湘南は、2015特別版として今年5月に刊行されている。
↑この「対象地域」を毎度書かなければならないというところが、日本のミシュランの寄る辺なさというか、本社の都合で地域や調査方法が毎度変わっているかの証左ではある。
例によってプレスリリースは、公式サイトでは完全非公開になったようだ。クラブミシュランへ誘導される。代わりにけっこう便利な
このサイト。
いつまで全公開かわからないが、地域ごと、星の数ごとなどで抽出できる。
軒数としては以下の通り。
◆2015(昨年)◆
3つ星 12
2つ星 53
1つ星 161
◆2016(今年)◆
3つ星 13
2つ星 51
1つ星 153
今年のトピックスとして、ビブグルマンが今回からすべての料理カテゴリーが対象となった。
ベトナム料理、ペルー料理、ポルトガル料理、ロシア料理は初めてのカテゴリーという。
◆新3つ星
(昇格)虎白
◆新2つ星(昇格・新規含む)
(新規)ドミニク・ブシェ
(昇格)ベージュ、桃の木
◆新1つ星(ビブグルマンからの昇格含む)
Abysse、Azure45、いち太、うずまき、きた福、然、雙柿庵(そしあん)、ダ・オルモ、蔦、Tirpse、ふくだ、ブノワ、フロリレージュ、矢もり、よし澤、スプートニク、ル・モマン
新ビブグルマンの主なところでは、荒井商店、アーンドラ・ダイニング、エッセンス、Engine、Aux Délices de Dodine、クリスチアノ、サイゴン、サル・イ・アモール、Jeeten、膳楽房、Pais Vasco、楽記、Les Pif et Dodine…ペルー料理、ベトナム料理、スペイン料理などなど。
今年は早く出たロイター記事の見出しに引きずられてか、どのニュースサイトも見出しは揃って「世界で初めてラーメン店が1つ星」だ。
星3つや2つの話ではないのね…
Tokyo noodle shop awarded world’s first ramen @Michelin star https://t.co/kioIysZ36R pic.twitter.com/8FaYdABQ1i
— TODAY (@TODAYonline) 2015, 12月 1
それから、北島亭やコートドールなど、大御所の星は昨年消えて、今年もそのままになってしまった。
イタリアンが東京には1つ星しかなくてもともと少なかったのが、さらに減ってしまった。日本のイタリアンは、現地と比べてももう少し入っていてもいいのではと思う。
雑感:ミシュランとベストレストラン
ミシュランの話題を根底からひっくり返すようで恐縮だが、最近は、「ミシュランで星を取りたい…」という言葉よりも「ベストレストラン50に入りたい…」の方を聞く方が多くなった。
その理由は想像するしかないのだが、いくつか思いあたることはある。
一つは、3つの評価基準のミシュランより、順位が出るベストレストランの方が話題としてインパクトがあること。
もう一つは、ミシュランの刊行地域に含まれない地域に、ミシュランに載っていいようなレストランが増えてきたこと。
本当は「ミシュランジャポン」でいいのではないかと思う。
フランスは「ミシュランフランス」で、フランス国内はすべて網羅されているのだから。
もちろんそんなことはできるはずもない。
ミシュランの歴史が違うし、コストだってかかる。
それをペイできるほど本を売るのは至難の業だろう。
ミシュランはいうまでもないがタイヤメーカーが母体で、クルマで走る途中にある名店を発掘するというのがスタンスだ。書籍の店の掲載順も、当然ながら地域ごと。その地域ごとにまず地図があり、そのあとに店の紹介が並ぶ。
一方、日本のミシュランは、店の五十音順。地域地域でミシュランが出ているので、それぞれのミシュランに地域性は不要ということだろう。
そこにあるのは地域でなく、星の数だけなのだ。
そう考えると、ミシュランが刊行されていない地域だから星がない、というのが日本では何となく理不尽に映る。
そして、地域性はまったく無視で世界のどんな場所にあってもノミネートされるベストレストランに注目が集まるのかもしれない。
地域に根ざしたメゾンに価値があるのではなく、いまは料理人の実力で評価されることが多い。
「皿の上だけで評価する」とミシュランはいうものの、メゾンと料理人の実力の両方を評価軸に入れているように思える。
そのなんとなくの歯がゆさはベストレストランにはなく、料理人の評価がすべて。単純明快だ。
今の時代、どちらがより時代を反映しているのだろう?
もちろん、評価軸は多い方が良いというのが前提として。
これを書き始めるまで、ミシュランという評価体系は、この時代にもう耐用年数が切れかけているのでは?と何となく思っていたが、複数の評価軸がある…ということは、やはり、意外と重要なことなのかもしれないなとも思う。
ミシュランガイド東京2016
【発売日】2015年12月4日(金)
【価格】 本体3,000円+税、(税込3,240円)
【発行】 日本ミシュランタイヤ株式会社
現在の日本のミシュランの刊行物一覧(2015年12月1日現在)
1. ミシュランガイド東京2016
2. ミシュランガイド兵庫2016特別版
3. ミシュランガイド京都・大阪2016
4. ミシュランガイド奈良2016
5. ミシュランガイド横浜・川崎・湘南 2015 特別版
6. ミシュランガイド福岡・佐賀2014特別版
7. ミシュランガイド広島2013特別版
8. ミシュランガイド北海道2012特別版
*地方版も随時更新されているとのこと
あれ、スガラボは☆なしですか? スプートニクはミシュランの調査が間に合ったようですね。来年はスブリムが一つ☆と予想してます(まだ未訪ですが)。
leoさん
そうですね。スガラボさんは評判いいですけども、確かに、今回は来なかったですね。連絡先非公開でも選考対象になるのでしょうか?
スブリムさんは来年楽しみですね。