ここに行くためにシンガポールに行ってもいいと紹介されたことで有名になったレストラン。
場所はシンガポール市内、チャイナタウンの一角の洋館。
アンドレ・チャン(江振誠)シェフは台湾出身で、15歳で単身渡仏、サンス・エ・サブール、ピエール・ガニェール、アトリエ・ドゥ・ジョエルロブション、アストランスと修業ののち、シンガポールのスイソテル70階にあるレストラン「JAAN」に入り、その後2010年10月にこの「Andre」をオープン、翌年にはサンペレグリノのベストレストランにランクインしている(2014現在37位)。
(余談だけど、JAANもモダンなフレンチだ。Andreが抜けたあとは、ブラス出身の人がシェフをつとめているらしい。夜のダイニングの照明が暗いのは、夜景を見せるためだと思うけど、絵画的な盛り付けの料理に気の毒な気がした。外の風景と料理の両方を楽しむには昼の方がいいかもしれない。)
アンドレといえば彼の料理の哲学「オクタフィロソフィー」を抜きには語れない。
(故郷台湾では「八角哲学」というらしい。)
シェフが料理をする際に指針にする8つの哲学。それにのっとった8皿の料理が出てくる。
Pure 調味料を使わない料理。
Salt 海の大いなる恵み。ただし、料理に塩は使わない。
Artisan 職人技。
South シェフが大きな影響を受けた南仏の料理。
Texture 食感がポイント。
Unique 限られた食材。
Memory 思い出。
Terroir 豊かな土壌。
“South”
オマールだけが少しスパイシーなアクセントで、軽い食感。南仏らしい味付け。
“Texture”
炭を模した黒く硬い揚げパンのようなものを食器がわりに、手前のタコと赤ピーマンのムースを頂く。食感は、揚げパンの堅いスナック菓子のような食感と、タコのぬめり感と、ムースの滑らかさの組み合わせでバラエティに富んでいる。食感だけでなく味覚の組み合わせも忘れがたい。
料理写真を事前に見ていて味の見当はある程度ついていたけど、わかりやすいおいしさは想像のはるか斜め上を行く。最初の、玉ねぎを使ったアミューズのひと口から、玉ねぎの甘みと滋味を感じる。手仕事が細かく、破綻がなく、絵画的。このようなモダンなものを食べ慣れてない人でもおいしいと感じると思う。
モダンだけど、基本は間違いなくフレンチで、明るい南仏系だと感じる。
この、モダンなのに誰でもわかるおいしさというのはけっこう貴重で、2000年代に全盛期だった分子料理にしても、試みとしての評価はあっても、従来の料理を覆すほどおいしいこととはなかなか両立しなかった。
“Memory”
トリュフ入りフォアグラのフラン
このひと品は、コースの中身が変わっても必ず出るシグネチャーディッシュ。この古典的な食材の組み合わせが一つ入っていることで、これ以外がもし奇想天外な料理でも、ここで納得できそうな”重し”のひと皿。
アンドレシェフは昨年行われた講演のなかで
「お客様を最も感動させるのは、料理の意味や、そこにいたる過程、そしてその背景に流れるストーリーなのだ」
と語っている。(参考;「『世界料理学会 特別リポート』第2回 アンドレ・チャン氏の講演でスタート!」食育通信online リンク)
自分はなぜそれを作るのか?を考え続け、突き詰めたものが料理におのずから出て、食べる側はそのストーリーに共感することで、感動が増すのだと思う。
参考記事
”BIOS Monthly”(台湾の記事です)
この記事によると、彼は台湾に農場を持っていて、そこからレストランで使う野菜の10〜15%を賄っているらしい。
海外でレストランを展開するときに、食材調達は必ず問題になるけれど、特にシンガポールは地域的特性上、食材などすべてを輸入に頼らなければならないので、自分が本当に使いたい食材の調達は課題なんだろうと思う。
Andreを訪れた日、私は22:30シンガポール発の便で日本に帰る予定になっていて、21:15にはレストランを出たいと事前にお願いしてあった。
それに対するサービスの対応は素晴らしく、サービスの人がみんな「21時には出るのよね」と気を遣ってくれて、デザートも切り上げ、小菓子は最初からお土産用の箱に入れてくれて、21:15時間ぴったりにタクシーが到着(これ、海外ではなかなか貴重)。
空港に着いて、出国審査を抜けたのが店を出て25分後の21:40(笑)
サービスも完璧!
あちらにこちらに、すみません…。
アンドレ、9月と11月に予約いれてみたのですが、取れませんでした…。
いらっしゃった時は、結構前に予約されましたか?
お手すきの時に教えていただけると幸いです。
Yuさん
返信おそくなってすみません。国外脱出中です(^^;
Andreは3週間くらい前の予約でした。普通にHPから予約を入れています。
ソムリエの長谷川さんとお知り合いのかたは長谷川さん経由で予約されるかたもおいでかもしれませんが…
特に取りづらい感じもありませんでした。
ちょうど混む時期などなのでしょうか?
ご希望の日に取れることを祈っております。
ご返信ありがとうございました。
バカンスですか?
素敵な時間をすごされたことと思います。
アンドレ、11月は無事とれました。
10人で予約しようとしてたので難しかったのかもしれません。でも9月は4人なのに難しそうです>_<ランキングが影響しているのでしょうか…。 ちょうど主人かシンガポールに引越ししたので、直接行って9月も聞いてきてもらいます(^v^) また、コメント欄で大変恐縮なのですが、文章を書くお仕事をされてらっしゃるのでしょうか?もしそうなら少しご相談したいことがあるのですが、可能でしょうか。(コメントに記載することとして適切でなければ削除してください。)
Yuさん
コメントありがとうございます。
4名でも予約が取りづらいというのは、タイミング、かもしれないですね。
アンドレの席数は確かに多くないので、埋まるとどうしようもないのかも。
日にちがフレックスであれば、問題ないと思いますよ。
ソムリエの長谷川さんに相談されてもいいかもしれないです。
ケニアとルワンダに行っていました。食とは関係ない旅でしたが、何か書いておきたいと思います。
ご相談の件は、直メールさせて頂きました。