コペンハーゲンに到着。8月の夜10時は、まだ薄明かりでぼんやりしている。
日本の「秋の日はつるべ落とし」とは逆で、日没から完全に闇になるまでの薄闇が長い。
ちなみに出発地トロンハイムの緯度は北緯63度(今日の日没時刻21:47)、ここコペンハーゲンの緯度は55度(同20:57)。日没時刻は緯度の分、1時間くらいは短くなっている。
北欧のレストランに行くのに、土曜の夜の到着はかなり分が悪い。なぜなら、たいていのレストランが日曜、月曜、火曜の午前くらいまではお休みとなるからだ。
諸般の事情で、私たちが今回コペンハーゲンにいるのは日曜から水曜までで「もろかぶり」。
空港から私たちが外に出られたのが22:00ごろ。
日曜、夜遅く、軽くでいいのでちゃんとした一食を、というリクエストに応えられるのが、LO23:00、日曜も営業のこちらだ。フィスクバーとは英語でフィッシュバーのこと。
ちなみに、コペンハーゲン空港は市内との距離が近く、駅直下から電車もあって交通の便が良い。
お店まではクルマで30分くらいだ。
フィスケバーの場所は食肉市場の一角にある。もちろんこの時間で市場は閉まっていたが、ほかにもカフェや飲み屋などがちらほらあり、いわゆる場外のレストランという雰囲気。
noma出身のシェフが作る、アラカルト主体の、ガストロ系のひと皿あり、フィッシュアンドチップスやムール貝蒸しなどのワイワイつまむ系あり、1人でも、何人かでも楽しめる使い勝手の良い店だ。
素材はノルディックの魚介類が主体。
7品のおまかせコースも設定されている。
メニューは、最初にメイン素材が書いてある方式で読みやすい。
頼んだメニュー
◇Blue mussels Steamed in apple cider with plenty of herbs
◇Scallops seared cucumber,seaweed,chanterelle and lemon
◇Mullet seared,on skin corn,chicken skin,shrimps and hazelnut
◇Hispi cabbage char grilled parsley,onion and potato
◇Hake delicate,juicy meat pan cooked
生牡蠣。あっさり。プレゼンテーションも凝っている。
ムール貝は北大西洋のもの。どんぶりに山盛り。写真では見えないが、スープがココナツ系のミルキーな味付けで、コリアンダーが多く使われている。アジアンな味付けでいくらでも食べられる。
キャベツのローストは昨日の今日(Favikenで食べたばかりのキャベツのひと皿)なので思わず笑ってしまった。クリーム系のソースであることも同じ。こちらも現代的で、火入れもきちっとされている。付け合わせの野菜が多くてこちらはにぎやか。
Hake(ヘイク)とは、メルルーサのような白身魚。火入れは繊細で、フィッシュバーの料理ではなくもはやレストラン料理だ。ソースもキャロットを3種添えて複数のディップ…と彩りの良さにも気を使われている。味付けは最低限。
デンマークの料理界でのnomaの立ち位置について、「デンマークのレストランのなかでもけっこう異色の存在で、これこそがモダンノルディックだと思われているけど少し違う」と聞いたことがある。
それでも、最近はnomaで修業経験のあるシェフ…というフレーズがこのようにときどき聞かれるようになり、現地の素材を用いる、生産者とのつながりを濃くする、というようなnomaをはじめとした「マニフェスト」の考え方は、こうやって広がっていくのかなと思う。
Kødbyens Fiskebar