Relaeのオープンは2010年4月。
モダンノルディックの店のなかでは、2010年というのは、2004年オープンのnomaを除けば、比較的古い部類に入る。
2010年というのは、北欧のレストラン業界にとってはエポックメイキングな年である。
nomaが、サンペレグリノの世界のベストレストラン50で、エルブジを退けて初めて世界1位となった年だ。
Relaeをオープンしたクリスチャン・プリージは、07年ごろnomaのスーシェフをつとめている。
クリスチャンはパリのタイユヴァンやスペインのエルブリなどで修業経験があるが、実際にオープンしたこの店は、それら高額店のどれとも似ていない。
Relaeのある地区は、コペンハーゲンの中でも下町の地区だ。
内装はカフェ風でカジュアル。クロス無し、カトラリは引き出しの中から自分で出す方式。
サービスも食材提供も絞る代わり、良いものを安く出す。
今回のコース475DKK(日本円約7,200円)は、デンマークのガストロ系の価格帯に比べると相当安い。
それはあくまでも「ガストロ系に比べると」であって、5年ほど前は4皿325DKKだったと知ると、けっこう値上がりしたなと思う。少なくともビストロ価格とはいいがたい。ミシュランの星も取ったしなあ。
クリスチャンは今年こちらを離れ、いまは農場経営の方にシフトしているらしい。
6月からの新シェフ、ジョナサン・タムは、2010年のレレ開店当時から勤務していた人。
そして、彼もnoma出身だ。
モダンノルディック料理は、店ごとのカラーを保つというよりは、料理人本位のところがあると思う。
だから、Relaeの料理はもう、クリスチャンがシェフの時とは変わっているだろう。
北欧のレストランは、ほんとに動きが早い。
コースは2種類。(895DKK・475DKK)
ラージから何品か抜いたのがスモール…というのはKokkerietと同じ。
レタスのサラダ
プレゼンテーションが何でもないのに美しい。
葉と葉の間に軽い酸味のあるドレッシングが入っている。
サーモンのミキュイ
軽いマリネで付け合わせがたまねぎ。ひねりなし。ビストロで出て来るような直球。マリネ度合いは控えめ。
スモーブローでもそうだけど、このような魚系のマリネ、北欧で出てくるものは本当にいつもさすがだなと思う。
見た目が美しい理由の一つはこの青い器か。
白い皿だとなんでもないのが、これだけでとても映える。
ズッキーニ
中は柔らかく火が通っている。ソースはヨーグルト系マヨネーズ。
緑のソースはほうれん草系の香りがした。ソースのように見えるけれど味はない。
豚のロティ
味付けは最低限で、シーアスパラガスの塩気でいただく。
上に載るのはスイスチャード(フダンソウ)。
デザートは意表を突かれた。
フリーズドライしたマリーゴールドの下はヨーグルト、レモンカードの3層構造。
白い陶器の器も食べられるように見えてしまうプレゼン。
ほかのガストロ系のレストランで出るような前菜のスナックも、お茶菓子も、コーヒーもなし。
酸味の使い方やあっさりした味の重ね方は、日本のレストランととても近い。
日本で食べているみたいな越境感のなさだ。
食材の種類は少なめ、一度見たら忘れられない印象的な見た目。
毎日でも行けそうなカジュアル感が、また行きたいという気にさせる。
食後のコーヒーは、お店すぐそばのcoffee collectiveでどうぞ。
Relæ
Jægersborggade 41 2200 København
Phone: +45 36 96 66 09(火~金12:00~15:30のみ)
日月休。火~土17:00~22:00、金・土12:00~13:30
予約は→こちら。
coffee collective
Jægersborggade 10 2200 København
無休